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大阪地方裁判所 平成10年(ワ)5329号 判決 1998年9月24日

原告 大阪市信用保証協会

右代表者理事 A

右訴訟代理人弁護士 岡本宏

被告 Y

主文

一  本件訴えを却下する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

一  請求の趣旨及び原因は別紙のとおり。

二  原告が本訴において請求する求償金債権について当庁昭和五六年五月一一日言渡しの原告勝訴の確定判決が存することは、原告の主張自体から明らかである。

ところで、前訴において勝訴した当事者が同一の請求権につき訴えを提起した場合、時効中断のための再訴等を除き、原則として権利保護の要件を欠き、訴えの利益はないと解される。

本件についてこれを見るに、原告の主張するところによれば、被告は右確定判決後の平成元年一二月八日、平成三年一一月七日、平成五年六月七日に各五〇〇〇円の内入弁済をしたというのであるから、本訴請求権については、右各弁済により消滅時効が中断し、最終の内入弁済日である平成五年六月七日から一〇年の消滅時効期間が進行することになる。そうすると、右時効期間のおよそ半分が経過したに過ぎない現時点においては、未だ訴えによる時効中断の必要性が認められず、その他本件について訴えの利益を認めるべき事情も存しない。

よって、本件訴えは、不適法でかつその不備を補正することができないものとして、口頭弁論を経ずこれを却下することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 三代川三千代)

<以下省略>

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